巡り合わせ…。それは「自然にめぐってくる運命」を表す言葉だが、そんな“巡り合わせ”を体現したような２人がいる。江崎さんご夫婦だ。江崎さんが阪急芦屋川駅からすぐのレンタルキッチン「STAGE」で自家焙煎したコーヒー豆の販売を始めたのは、今から約２年ほど前だった。

当時のウカブ珈琲店の様子は下記から。

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毎週土曜日だけの珈琲店は徐々に噂となり、いつしか多くのお客さんが週末に珈琲豆を買い求めるまでになった。平日は会社員として働き、土曜日には豆を売る。２人の週末はとても充実していたのだが、次なる夢があった。「自分たちのお店を持つこと」だ。

やがて２人は夢に向かって店舗探しを始める。「半年ほどいろいろな地域の物件を見て回り、時には小豆島まで行ったこともありました」と話す江崎さん。芦屋以外の場所での出店も考えていた時、江崎さんご夫婦に声をかけたのが、レンタルキッチンSTAGEのオーナーである大橋さんだった。大橋さんはSTAGEのすぐ隣にある鮮魚店のご主人でもある。新事業展開を考えており、鮮魚店の場所が空くため改装して珈琲店を開いてはどうかと提案してくれた。「こんな良い話はない！」と江崎さんご夫婦は即決。
そして、２０２３年８月２２日、夢だった自分たちのお店をオープンした。

ウカブ珈琲店のコンセプトは、「日常によりそう珈琲」。焙煎は中深煎り～深煎りにしつつも、いかに珈琲豆が持つ果実感を残せるかを追求している。カウンターにはエチオピアやインドネシア、ケニアなどの珈琲豆が５種類ほど並び、いずれも江崎さんが厳選した豆である。
イメージしているのは、八百屋さんで野菜を買い、和菓子屋さんで菓子を買うように、ウカブ珈琲店で珈琲豆を買ってもらうことだと江崎さんは言う。

珈琲豆だけでなく、コーヒーそのものも提供しており、テイクアウトはもちろん、店内で飲むことも可能。また、店内では珈琲の美味しさを引き立てる“あんバターサンド”や“パンケーキ”も提供している。「先日、わざわざ半休をとってあんバターサンドを食べに来てくれた方がいたんです！とても嬉しかったです」と料理を担当するそよ香さんは言う。

そよ香さんは料理の他にも、ウカブ珈琲店にとって大きな役割を果たすものを担当している。それはパッケージのイラストや店内の絵を描くことである。そよ香さんは絵描きという顔も持っているのだ。「２人の趣味で民芸品を集めたインテリアにしてるのですが、妻の絵が調和して和やかな雰囲気にしてくれています」と江崎さんは言う。ウカブ珈琲店の鳥のロゴマークも、もちろんそよ香さん作。自分で飛ぶことをやめた鳥が、觔斗雲（きんとうん）に乗って風の吹くまま旅をする。そして、流れ着いた場所に珈琲豆を届けるというストーリーがあるロゴだ。力まず、リラックスできる時間を届けたいと願うウカブ珈琲店にぴったりだ。

最近は出勤前や通りすがりの人がふらっと寄っていってくれることも増えたという。「夢は１日でも長く、この場所で皆さんに珈琲豆をお届けすることです」と笑顔で話す江崎さんご夫婦からは、オープンから１か月の日々がどれほど充実したものであるかを教えてくれるようでした。

ちなみに珈琲豆はインターネットでも買えるので、なかなかお店に行けないという方はチェックしてみてください。