自身の難病をきっかけに、酒屋から自然食品店へ転身。
化学肥料を使わずに育てた野菜や、添加物が入っていない加工食品を自然食品と言う。いこまやは、そんな自然食品を取り扱うお店だ。創業80年になるいこまやだが、創業当時は酒屋さんだった。しかし、三代目店主の井上さんが40歳の時、自然食品店へ舵を切ることになる。
きっかけは、井上さんを襲った難病であった。「医者からは薬も治療法もなく、一生治らないと言われた…」と井上さんは当時を振り返る。腹痛で毎日苦しみ、悔しさから涙を流す井上さん。それを見て、奥さんが全国の知り合いに相談し、たどり着いたのが自然食に詳しい先生だった。そして始めたのが、自然食の一つである玄米菜食。半信半疑で始めたものの、みるみる症状が改善し、ついには完治したのだ。そこで食の大切さに気付き、いこまやは自然食を取り扱うお店へ転身した。
加工食品も、お酒も、無添加でとにかく安心。
お店には野菜をはじめ、調味料や加工食品、ワイン、日本酒など、実に幅広く取り扱われている。そのどれもが井上さんが一つひとつ厳選した食品たち。「初めは小松菜とほうれん草の違いもわからんかったけど(笑)」と自然食品店を始めた当時の苦労話を笑顔で話す井上さんだが、今ではガンや糖尿病で苦しむ人たちが、遠方から井上さんを頼ってお店に訪れるという。
先日も腎臓を悪くし、病院では透析しかないと言われた人がいた。井上さんがその人にスギナのお茶を薦めたところ、2か月ですっかり元気になって透析の必要などなくなったそうだ。井上さんが言うには、食と生活を根本から改善すれば、病気は治せるし、病気にならない体を作れるのだ。人間も自然そのもの。薬やサプリメントよりも、自然に沿った食事が何よりも体に元気を与えてくれるのは間違いない。
いこまや 店主 井上 一夫 いのうえ かずお さん
芦屋生まれ、芦屋育ち。いこまや三代目店主。
間もなく四代目に引き継がれる予定。
芦屋の思い出:親子で芦屋川に行き、投網したこと。アユなどが採れることがあり、天ぷらにして食べていた。